【コラム】社会人サッカーチームが抱える悩み‐確保が難しいグラウンド事情- |東京都社会人サッカー

普段何気なく使っているサッカーコート。日常的にサッカーを続けていると、グラウンドでサッカーを出来ることが当たり前に感じてしまう人もいるかもしれませんが、その裏には色々な人の努力や協力があります。
サッカーをしている人たちにとっては、感謝してもしきれないことです。普段グラウンドの確保に動いてくれている人たちがどのような状況下で、どのような努力を重ねてくれているのか、その真相に迫ります!


社会人サッカーチームのグラウンド確保の現状


社会人サッカーチームが、毎週定期的にサッカーコートで活動をしていることは、一見、当たり前のように見えますが、決してそうではないのです。社会人サッカーチームのほとんどは、自分たちのグラウンドを保有していません。社会人サッカーチームは、公営、又は私営のグラウンド施設を借りて活動を行っています。高校、大学など、学校の部活動では、各学校が所有しているグラウンドで練習が出来るため、毎日練習していても、グラウンド確保の面で苦労することは滅多にないと思います。しかし、社会人チームは、施設の予約が取れなければ、サッカーコートを使っての活動は出来ません。その予約を取るのも、相当難しいのが現状です。


東京都におけるチーム数とグラウンド数

東京都を例にして、グラウンド確保の難しさを、東京都の社会人サッカーチームの数とグラウンドの数の関係から考えてみたいと思います。
現在、東京都社会人サッカー連盟に加盟しているチームは、全部で224チーム存在します。東京都リーグに所属しているチームだけでも、215チームが加盟しています。このチーム数に対し、都内にある、レンタル可能なサッカーグラウンドの数は約100か所と言われています。200を超えるチーム数に対し、100か所近くのグラウンド数は、一見、それほど不足していないようにも見えますが、他にも様々な実情があります。


グラウンドの種類

社会人サッカーチームが使用するようなグラウンドは大きく分けて2種類存在します。1つは、区や市などの自治体が管理する公営のグラウンド。もう1つは、個人や会社が運営している私営のグラウンドです。公営と私営、それぞれの特徴について説明していきたいと思います。
まず、公営のグラウンド施設について説明します。公営のグラウンドは、先ほども述べたように、区や市などといった自治体が運営、管理を行うグラウンドです。例としては、文京区の小石川運動場や、江東区の新砂運動場、葛飾区の葛飾にいじゅく未来公園などが挙げられます。ちなみに、都内にあるグラウンド施設のうち、ほとんどが、場合によっては全てが、公営のグラウンドであると言われています。しかし、これらのグラウンド施設は、利用できるチームに制限があります。該当する区内に在住・在勤・在学している者が一定数以上在籍している団体にしか、利用資格がありません。こういった施設は、企業のサッカー部や、大学の学生チーム、市や区の役所のサッカー部などは利用資格を得られる可能性が高いですが、FC BANDELIEのように、職場も、在学している大学も、住んでいる場所もバラバラなメンバーで構成されているチームは、なかなか利用資格を得ることが出来ません。つまり、100か所近くあるグラウンド施設のうち、ほとんど、或いはすべてを占める公営のグラウンド施設は、利用できないチームも多くいるのです。つまり、東京都社会人サッカー連盟に加盟しているチーム数に対し、実際に各チームが利用できるグラウンド数は全く足りていないといえます。





次に、私営のグラウンド施設について説明します。個人や会社が管理・運営を行う私営のグラウンド施設には、公営のグラウンド施設のような利用団体の制限はありません。都リーグに所属するチームの多くが利用している私営のグラウンド施設としては、埼玉県さいたま市にある「レッズランド」や、千葉県千葉市にある「ZOZOPARK HONDA FOOTBALL AREA」などが挙げられます。これらのグラウンド施設は、予約さえ取れれば、どんなチーム、どんな団体でも利用することが出来ますが、公営のグラウンド施設に比べて、利用料金が高いという難点もあります。所属する選手たち自身がお金を出し合って、チームの運営を行っている社会人サッカーチームにとっては、施設の利用料金は、決して無視することのできないポイントでもあります。しかし、特に公営のグラウンド施設をなかなか利用することが難しいチームは、数も決して多くなく、利用料金も比較的高い私営のグラウンド施設を利用する頻度が必然的に高くなっているのです。


都リーグなのに、都内で開催されない⁉

FC BANDELIEも所属する東京都リーグは、各ゲームの開催グラウンドの確保は、各ゲームのホームチームに委ねられています。開催が予定されていた公式戦も、グラウンドが確保できなかったことによる延期なども時々起こります。また、グラウンドの確保が各ゲームのホームチームに委ねられているため、必然的に開催グラウンドは私営のグラウンド施設が多くなります。つまり、都リーグであるにも関わらず、開催場所は埼玉県や千葉県など、他県の私営のグラウンド施設が多くなるのです




実際に、今シーズンでFC.BANDELIEが関わったリーグ戦が開催された会場は、全て都外の私営のグラウンド施設です。公式戦ですら、都内で開催することが出来ない、或いは開催場所が確保できずに延期せざるを得ない状況が発生しているという事実は、社会人サッカーチームのグラウンド確保の厳しい現状を象徴していると言えます。


活動場所を確保するための工夫

サッカーグラウンドの確保がなかなか難しい状況下で、社会人チームはどのような工夫をして毎週の活動場所を確保しているのでしょうか。利用条件に制限がない、私営のグラウンド施設を毎回の活動で必ず確保することは、施設数とチーム数、各チームの活動回数、週末に活動するチームが非常に多いという条件から見て、非常に困難であるということは、おわかりいただけると思います。そんな中、どのようにして毎週の活動場所を確保していくのか、実際に行われている工夫を紹介していきたいと思います。


フットサルコートの活用

これまで、確保の難しさを紹介してきたのは、主に、サッカーのフルコートの場合です。当然、リーグ戦などの公式戦は正規の大きさのサッカーコートで行われますから、日頃の活動を全てフルコートで出来れば、それに越したことはありません。しかし、それは現実的にかなり難しいです。それが人工芝のグラウンドになると、更に確保の難度が増します。そこで、社会人サッカーチームの中には、フットサルコートを活用してトレーニングを行っているチームが多くあります。私たちFC.BANDELIEも、週3回の活動のうち、平日の練習は埼玉県内のフットサルコートで行っていますし、土・日のどちらか片方も、フットサルコートで行うことがほとんどです。実質、フルコートでトレーニング又はトレーニングマッチが出来るのは週に1回です。しかし、逆に言えば、安定的に週に1回は人工芝のフルコートで活動が出来ているのは、とてもありがたいことです。グラウンドの確保のために日頃から動いてくれているメンバーの努力の賜物です。


チーム内・外での協力

他チームの例に目を向けると、年代別やカテゴリー別に複数のチームを持っている、規模の大きなチームの場合、それぞれのカテゴリーのチームでグラウンドの確保に動き、確保することが出来たグラウンドをチーム全体で調整して利用するなど、工夫をしているチームもあります。
また、日頃から関わりのある別のチーム同士の協力によって、活動場所が確保されるケースもあります。グラウンドの予約に空きがある施設が見つかった際に、自チームの予約をするだけでなく、活動場所が決まらずに困っているチームに情報を提供したり、元々練習試合をするつもりでグラウンドをとったが、対戦予定だったチーム同士の都合で練習試合が中止になってしまった際に、グラウンドを探している他チームに譲ってあげたりするケースもあります。
グラウンドの確保で苦労しているのはどこの社会人チームも一緒です。お互いにその苦労を理解しているからこそ生まれる、チーム同士の助け合いも存在するのです。普段は敵同士でも、困っている時は互いに助け合う。これも、社会人サッカーの魅力の1つなのかも知れません。


現状改善のためには何が出来る?

現状、私たちFC BANDELIEは、フットサルコートとサッカーコートを併用することで、週3回の活動場所を確保しています。さらに詳しく見れば、週3回の活動のうち、2回がフットサルコート、1回が人工芝のフルコートというのが現状です。場合によっては、他チームとのトレーニングマッチなどの関係で土・日どちらも人工芝のフルコートで活動が出来ることもありますが、基本的には土・日のどちらかはフットサルコートでの活動です。公式戦などに向けて、実際の試合の大きさのコートでのより実践的な練習機会を求めるのであれば、人工芝や天然芝のグラウンドだけでなく、土のグラウンドにも確保の幅を広げれば、フルコートで活動をする機会を増やすことは出来ます。しかし、土のグラウンドであっても、フルコートでの活動であればそちらの方がメリットが大きいと考えるか、フットサルコートであっても、人工芝のグラウンドの方がメリットが大きいと考えるかは、人それぞれだと思います。この点は、社会人サッカー永遠の課題と言えるかもしれません。


最後に

今回は、社会人サッカー界におけるグラウンド事情について紹介させていただきました!いかがでしたでしょうか?
この記事の内容に共感された方、そうでない方、グラウンドを確保することがこれだけ大変だということをこれまで知らなくて驚いた方、色々な方が居たと思います。今回この記事を書かせていただいた私自身も、社会人サッカーを始めるまでは全く知りませんでした。
改めて、サッカーが出来る環境があるということは、決して当たり前ではないと感じさせられました。改めて、チーム同士の繋がり、人と人との繋がりの大切さを感じさせられました。
社会人サッカーチームを取り巻く、グラウンド確保が難しいという現在の環境が、改善されることに越したことはありませんが、こういった環境下であるからこそ生まれる、チームや人同士の繋がりもあります。
この記事を読んでくださった方々と共に、チーム同士や人同士の「繋がり」というものの大切さを改めて認識し、社会人サッカーを更に盛り上げていくことに少しでも貢献していければと思います!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!