【第7回】スポーツで八王子をより魅力的な街へ。クラブの選手兼スタッフの奮闘。 | 東京都社会人サッカー : アローレ八王子

第7回は、東京都1部リーグ所属のアローレ八王子でプレーする宮崎さんにお話を伺いました。                     
現在、足首の怪我を抱えながら、リハビリを目指し、チームを引っ張るキャプテンの素顔に迫りました。「アローレ八王子・総合型地域スポーツクラブ」や「JFLでのプレー経験や持つ宮崎さんの社会人サッカーへの想い」について理解を深めることができます。


プロフィール

宮﨑耀 / Miyazaki Hikaru / 1994年11月25日生まれ / 静岡県出身

NPO法人はちきたSC(アローレ八王子スポーツクラブ)コーチングスタッフ
株式会社アローレ八王子 トップチーム選手・スポンサー営業

城内中学校→静岡西高校→東京国際大学→ヴェルスパ大分→FC.ISE-SHIMA→アローレ八王子

アローレ八王子HP:https://arawore.jp
宮﨑耀 Twitter:https://twitter.com/mhkr_63
宮﨑耀 Instagram:https://www.instagram.com/mhkr63/


大学時代

高校時代は静岡県でベスト8にもなり、サッカーに自信はありましたが、いざ東京国際大学に入学してみると、周りには有名校から来た選手もたくさんいて全く通用しませんでした。さらには、その選手から出身の高校をバカにされたこともあり、反骨心を原動力にして練習に取り組んでいました。今思えば当時はとにかく尖っていて、就活なんて考えていたらプロにはなれないと思っていたくらいです。そして、Jリーグに少しでも近いチームに加入してステップアップしたいと考えていた時に、JFLのヴェルスパ大分から声をかけて頂きました。


ヴェルスパ大分時代

ヴェルスパ大分の練習に参加してみると、J1やJ2を経験してきた選手が多く、プロ意識の高さに驚かされました。ただチームメイトの中でプロ契約の選手は数名程度で、多くの選手達は仕事をしながらサッカーに打ち込んでいて、その姿にも心を動かされました。自分自身もスポンサーの企業で「朝6時から働き、15時からチームの練習をこなして、そのあと夜まで自主練」という生活を2年間続けました。今思うと、かなりハードですね。(笑)


FC.ISE-SHIMA時代

その後、東海1部のFC.ISE-SHIMAに移籍しました。ヴェルスパの時と同様、自分も含めた選手たちは、スポンサー企業で働きながらサッカーに取り組んでいました。生活は、時に厳しいときもありましたが、サッカーと真剣に向き合える環境でした。特にファンとの距離に関しては、FC.ISE-SHIMAは非常に近く、公式戦には1500人もの人が応援に来てくれました。地元のスーパーで働いている時にサポーターの方から「試合頑張って!応援してる!」などと声をかけていただいた時は、とても嬉しかったですし、元気をもらいました。


現在に至るまで

今所属しているアローレ八王子の野口監督には、ヴェルスパ大分を退団した時、FC.ISE-SHIMAを退団した時と2年続けて声をかけていただき、自分のことを一番見てくれていると感じていました。更に、FC.ISE-SHIMAの小倉隆史理事長が後押ししてくださったこともあり、最終的にアローレへの入団を決断しました。もちろんJFLより上のカテゴリーでやりたいという気持ちは当時もありましたが、私がプロサッカー選手になりたかったそもそもの理由は「自分の好きなことで人を笑顔にしたい」という想いからです。FC.ISE-SHIMAでの経験を経て、「プロサッカー選手になること」は、その夢を叶えるための手段の1つでしかないことに改めて気づくことができました。FC.ISE-SHIMAのように、「サポーターとの距離が近く、地域と密に寄り添っているチームを作りたい、クラブスタッフとして働きたい、サッカーも教えたい」とやりたい事が様々ある中で、その全てに挑戦できる環境がアローレにはありますし、その機会を作ってくれた野口監督にはとても感謝しています。


アローレ八王子について

総合型地域スポーツクラブとして運営をしています。イメージが湧きづらいかもしれませんが、ドイツの地域密着スポーツクラブをお手本に「子供から大人までが地域で身近にスポーツを楽しめる」ために活動しています。また、クラブは現在「八王子観光PR特使」に任命され、八王子の様々な資源や魅力を結びつけたりPRしたりする役割も担っています。

クラブの中で自分は、主にジュニアチーム(小学校5、6年生)やスクールのコーチを務めており、年配の方々への健康体操指導なども毎週行なっています。

今最も力を入れているのはスポンサー営業で、クラブを通じて「もっと八王子を好きになる場所へ」をスローガンに、企業への訪問や広報活動もしています。

ただ、八王子市はとても広いので大変ですね(笑)


やりがいとは

指導者として教える立場ですが、逆に教えてもらうことがたくさんあります。全くサッカーを知らない子供たちに対して、教えるわけですから、私自身がサッカーについて今までよりも深く知らないと教えられません。サッカーに関して、勉強し続けなければならないので、今も勉強を続けています。地域の子どもたちと関われることも、とても楽しいです。

現在、コロナウイルスの影響で観客が入れられないので、体操教室は「地域の人と関われる貴重な場所」であると思っています。この活動を通して、物は豊かであっても、高齢者の心の豊かさを生み出すことの難しさに気づかされました。

「スポンサー企業は、パートナーである。」という精神を持って、日々、活動しています。営業で直接顔を合わせる機会が多いので、どんな人に応援してもらえるかが分かることは、自分のモチベーションにも繋がっています。


大怪我をどう乗り越えたか

一昨年の12月に怪我をし、離脱しました。毎日、リハビリに取り組んでいたのですが、なかなかチームの全体練習に参加する段階までは到達できませんでした。そこで、3月に手術。その後もリハビリに取り組んでいたのですが、復帰はできず痛みが出始め、9月にも手術を行ったため、昨年は、全く試合に出場することは出来ませんでした。毎試合ベンチに入り、声でチームをサポートし続けましたが、もどかしいシーズンでした。27歳になり、サッカー選手としてはベテランになってきましたが、FC.ISE-SHIMA時代に、自分のやりたいことを明確にできたからこそ、引退という考えは全くありませんでした。プレイヤーとしても頑張りたいという思いがより強くなりました。試合に多くの方々を招待し、皆の前で再びプレーしたいです。


社会人サッカーの価値とは

社会人サッカーの難しさは、そもそもチームと個人に知名度があまり無い点です。プロサッカー選手であればチーム自体の知名度が高いので、所属する「個人」を応援してもらえるのは自然な流れだと思います。しかし、社会人サッカーの場合はそうはいきません。それでも応援してもらう、愛着を持ってもらうためには「選手個人のストーリーを知ってもらう」ことが必要だと思います。それぞれの選手が「どんな想いで」「何を目指して」「何を実現したいのか」を伝える時、プロ・アマが混在していたり、家庭・仕事と両立しながら戦っていたり、様々なバックグラウンドを持った選手たちの社会人サッカーだからこそ、そのストーリーはより魅力的に映るはずです。
高校サッカーが多くの方に応援されるのは、まさに、「仲間と切磋琢磨する姿(ストーリー)」を同級生やOB・OG、地域の人、親が知っているからだと思います。これを社会人サッカーに置き換えた時に、「興味を持つ・応援する動機」となるのは、やはり「個人を知っているかどうか」です。


アローレで見据える未来

将来的には、アローレパーク八王子を「八王子のことがもっと好きになる場所」にしていきたいと考えています。スポーツを手段として、クラブと地域を繋げて、さらに盛り上げることで、「八王子といえばアローレ」と言われるぐらいになりたいです。また、サッカー面においても、更に上を目指し、より多くの人に価値提供を行なっていきたいです。

週末に多くのサポーターが試合観戦に訪れるような「アローレのある週末」を作っていくことに、選手としても、クラブのスタッフとしても貢献していきます。


最後に

いかがでしたでしょうか。

今回は、アローレ八王子の宮崎輝さんにお話しを伺いました。宮崎さんだからこそ感じている社会人サッカーの価値やサッカーに懸ける想いは、非常に心に響くものがありました。
宮崎さんが仰っていた

「個々のストーリーの開示」

これを社会人サッカーがより身近な存在になるようにこのメディアを通して伝えていきたいです。
様々なバックグラウンドを持った人達が集まる環境こそが社会人サッカーです。
学生にとっても社会人にとっても得られるものしかない。サッカーで熱くなる週末を過ごしませんか。

最後まで、ご覧いただきありがとうございました。