第8回は、東京都並びにコミュサカの枠を飛び越え、J3の藤枝MYFCでキャプテンとして活躍されている杉田さんにお話を伺いました。
学生時代からJFLを経て、プロサッカー選手になり、藤枝MYFCのキャプテンになるまでの道のりを熱く語っていただきました。また、JFLのソニー仙台FCでの経験をお持ちということで、当時の仕事・サッカーの環境についても伺いました。
JFL経由でプロを目指している方や大学卒業後の進路に悩む学生にとって大変有意義な内容となっています。
プロフィール
杉田真彦 / Sugita Masahiko / 1995年6月16日生まれ / 静岡県出身
J3 藤枝MYFC / キャプテン / MF
経歴:静岡西高校 → 順天堂大学 → ソニー仙台FC → 藤枝MYFC
ソニー仙台FC HP:https://www.sonysendaifc.jp/
藤枝MYFC HP:https://myfc.co.jp/
学生時代
高校生の時、とにかくプロになりたいと考えていました。しかし、当時は、自分にとって現実的ではないと感じていました。大学2年生半ばくらいからトップチームの試合に絡むようになり、レベルの高い周囲の選手たちの影響もあって、プロへの強い思いが芽生えました。
また、この時期に「人生の大きな分岐点」がありました。とある練習試合でぬるいプレーをしてしまった際に、先輩である長谷川竜也さん(現・横浜FC)に愛のあるお叱りを受けました。そこで、もう一度自分を見つめ直す機会を作り、より「プロを意識」するようになりました。この時があるからこそ、今があると思っています。
就職活動はしていませんでしたが、プロと教員どちらも選べるように教員採用試験も受けていました。
ソニー仙台でのステップアップ
JFLで必ず結果を出して、プロへ行くという強い覚悟を持って、入団を決めました。
しかし、1年目は怪我やポジション争いで思うようにプレーができず、不完全燃焼に終わってしまいました。それでも、順天堂のサッカー部の同期や先輩や後輩がプロで活躍する姿を見て、モチベーションは全く落としませんでした。2年目でスタメンに定着し、結果を残すことができました。
サッカー環境や給与待遇も非常に良かったと思います。天然芝のサッカーグラウンドも完備しています。
ソニー仙台FCでの仕事
仕事では、「総務課の渉外グループ」に所属していました。主な業務は、電話対応・データ集計などの事務作業からソニー仙台FCの広告塔としてチームのPR活動まで多岐に渡ります。
居心地はとても良くて、会社として選手を応援してくれていることを感じました。アウェーでの公式戦の次の日は仕事が休みになったり、たくさんの社員の方々が試合観戦に来てくれたりと至る所でサポートを実感していました。「マッチレポート」や「試合のハイライト動画」の作成など、社員の方々に向けて、応援してもらえるような工夫も自主的に行っていました。
・とある一日
8:30 出社
14:00 退社
15:00 練習開始
プロへの挑戦と洗礼
1年目の時に、社会人サッカーとプロの違いを特に感じました。
プロでやってきた人たちは、サッカー一筋で生きてきた人が多く、日頃の練習の強度や要求の高さなどがこれまで経験したことないレベルで衝撃を受けました。大袈裟ではなく、「サッカーに命をかけてきた覚悟や想い」を肌で感じました。
プロになり、サッカーに多くの時間を注ぐことができるようになり、自分と向き合う時間や他の選手らと語り合う時間が増えたのは良かったと思っています。また、結果を出すことで、目に見えて注目度や応援してくれる人(友達・サポーター)が増えることは自分にとってモチベーションの更なる向上に繋がりました。
多くのサポーターの方々が集まるスタジアムでプレーする時は、いまだに鳥肌が立ちます。
キャプテンになった経緯
シーズン前のキャンプの終わりがけに監督から指名されました。元々、チーム内で「絶対キャプテンをやらなそうな人」として名前が上がるようなキャラだったのですが、自分の中では少し「あるかもなー」と考えていました。(笑)
監督から「俺はお前しかいないと思っている。」と言われ、キャプテンの重みを感じると同時に、成長するチャンスだ!と思い、キャプテンになることを決めました。
監督から明確理由は伝えられていませんが、自分の中では「チームメイト全員と円滑にコミュニケーションが取れるキャラクター性」と「チームの中心として自覚と自信を持ってプレーすること」が要因だと思っています。
キャプテンとして意識していること
キャプテンという立場になって、発信する機会が増えましたが、チーム内での発信に関しては「一人一人とよく話す」を意識しています。
若手の選手らは特に、一方的に言われるのが苦手で、全部真正面から伝えてしまうとモチベーションが下がってしまうので、個人的に話して、相手の懐に入り込むようにしています。これは、私が1年目に感じた「もっとこうしたらうまく伝わるのに」と感じた経験を活かしています。
藤枝MYFCの魅力
組織全体としての魅力は、「サポーターの温かさ」だと思います。
他のチームへのリスペクトの気持ちが特にすごいです。リーグ戦の際は、必ず相手チームの文字を横断幕にして迎え入れる体制をとっています。SNS上でのファン同士の交流を偶然見かけた時も嬉しい気持ちになりました。
チームとしての魅力は、「プロ意識」です。
プロとして、当然、結果を出すために日々、必死にトレーニングをしています。しかし、その姿は、サポーターやチーム外の人は公式戦の中でしか見ることができないので(コロナの影響で練習見学が無いため)、自分達がどんなに苦しい状況であっても、サポーターの前に立つ時は、「カッコいい姿」や「前向きな姿」を見せるようにしています。
「サポーターの前ではどんな時も強い姿や元気な姿を見せる」というような雰囲気がチーム内で醸成されているのも良い傾向だと思っています。
社会人サッカーの印象
大学生の頃は、正直、職場の人たちが趣味でやっている程度でしかないという印象でしたが、ソニー仙台に入団してから印象は変わりました。
クリアソン新宿を初め、多くのチームがSNSでの発信などからチームとしての本気度が伝わってきます。クラブのフロントや広報部がいるわけでないので、運営や広報も全て自主的にやるしかない状況で、仕事とサッカーを両立して結果を出しているのは、素直にすごいと感じています。
今シーズンの意気込み
チームとしては、「J2昇格」を目標に頑張るのみだと思っています。
個人的には、まずは怪我をしっかりと治して、数字を求めていきたいです。
去年は「2G2A」だったので、今シーズンは「5G5A」を目指します。
また、「サポーターに愛される選手」になりたいと思っています。
「すごい」よりも多方面の関係者から応援され、「愛される選手」になりたいです。
インタビューを終えて
自分の意識している部分を言語化して、整理する機会になりました。改めて、友達やサポーターの方々のことばかり話しているなーと。(笑)
この企画に関しては、なかなかスポットライトが当たらないけど頑張っている選手たちが多くいる中で、そのような選手を取り上げるのはとても良いと思う。ひたむきに頑張っている人は応援されるべきだし、応援したい人もたくさんいると思うので、是非、続けてほしいと思います。
最後に
今回は、J3の藤枝MYFCでキャプテンとしてプレーされている杉田さんにお話を伺いました。
JFLを経験したからこそ感じる「プロの厳しさ」や「アマとプロの差」を現役の選手から生の声を聞くことができ、非常に貴重な経験でした。また、JFL以下のカテゴリーであってもプロチームとは違う形で魅力を十分に持っていることを再認識することが出来ました。
「応援されるべき人」と「応援したい人」を繋げていきます。
少し話は変わりますが、
今後、この活動がサッカー関係者にとって、「自分の思考を整理し、言語化して、よりモチベーションを高められる場」になっていけばいいなと感じました。
「言語化して、発信したい方」、、、連絡お待ちしてます!(笑)